基礎から学ぶゴミ屋敷について
ニューヨークーダウは1987年10月のブラックマンデーの際に約20%の調整が入ったが、それ以降は、ほぼ一本調子で今日まで上昇を続けている。
特に4000ドルをつけていた95年ころから上昇スピードが加速したために、96年12月にはGリーンスパンFRB議長が活況を呈する株式を「根拠なき熱狂」と称してブレーキをかけようと試みた。
「根拠なき熱狂」発言にもかかわらず、上昇スピードは全く衰えず、98年には9000ドルに達することになる。 ここで、同年8月にロシア金融危機が勃発して、株価は本格的に急落して7千ドル台に突入したが、3回にわたるFRBの電撃的利下げにより、市場は急速に正常化した。
再び資金が流入を始め、99年5月には史上最高値をさらに更新して1万一千ドル台を記録した。 このような米国株価の高騰を支えてきた要因として以下の4点を上げることができる。
第1は企業収益の好転、第2はディスインフレによる資産市場への資金流入、第3は株式需給の逼迫、第4は海外資本の流入である。 第1の企業収益を見てみよう。
米製造業の売上高利潤率は92年を底に急速に上昇して97年時点では8.4%に達している。 この企業収益の改善は一方ではマクロの景気回復に伴って売上高の伸びが加速したこと、他方では単位労働コストが急激に低下したことによって実現した。
特に後者の労働コストの削減は前節で触れた企業リストラの賜物である。 企業リストラは景気が上昇過程に入っても絶え間なく進められている。
実際、賃金だけでなくフリンジーコストにもメスが入れられており、トータルとしての雇用コストも急激に低下した。 特に、90年代は企業がIT投資を活発化させることによって、人員削減を進める動きが盛んであり、労働者も賃金より雇用を優先する姿勢に転換している。
この結果、米国経済は景気が上昇してもインフレが加速しないというディスインフレ現象を呈している。 ディスインフレ経済では資金の流れがインフレ経済とは自ら異なる。
インフレ経済ではモノに流れ込んでいた資金が、ディスインフレ経済では株式や不動産など資産市場に流れ込む傾向が強くなる。 第3に90年代に入って株式の需給が大きく変わった。
需要サイドでは確定拠出型年金「401Kプラン」などの資金がミューチュアルファンドを通じて株式市場に大量に流入している。 米投資信託の残高を見ると、この10年足らずで5倍の5兆ドルを突破する規模にまで膨らんでおり、すでに個人の預貯金残高をはるかに上回っている。
なかでも株式投信の増加が著しく、国民純資産に占める株式投資比率も過去最高を記録している。 一方、供給サイドでは80年代のマネーゲーム化した企業乗っ取りが横行した後遺症もあってか、企業の自社株買いが進行中である。
自社株買いは公募増資を上回る規模にまで増加しているで、結果的に株式純減の状態が生まれている。 この需給の逼迫は株高を支える強い要因となっている。
第4に特にここ数年海外から米国への資金流入が急激に増加している点は見逃せない。 1つには世界を見渡した場合、最も経済パフォーマンスの良い国が米国であったのは一目瞭然である。
日本経済はバブル後遺症で長期低迷を続けており、特に97年以降は金融機関の破たんが顕在化した。 97年のH海道拓殖銀行、Y一証券、S洋証券の倒産、また98年にはN本長期信用銀行、99年にはN本債券信用銀行が破たん認定を受けて公的に管理されることになった。
金融安定化のための関連法案が通過して銀行への資本注入が実施されたことで、最悪期は脱しつつあると見られるが、まだ予断を許さない状況下にある。 アジア経済は90年代半ばにかけて景気が過熱してバブル経済の様相を呈していたが、97年7月のタイーバーツ危機が引き金となり、アジア地域全域に通貨危機が伝播していった。
このため多くの国がIMF(国際通貨基金)管理下に入り、経済構造の改革を迫られている。 ヨーロッパについてはユーロ誕生に伴う不透明感が底流にあって、海外資本を本格的に引き付けるまでには至っていない。
以上の4つの理由により米国株は上昇を続けているが、問題は株価がこれだけ高いレBールクにまで上昇すると、この水準自体が正当化されるのか、あるいはすでにバブル化してしまっているか議論の分かれるところである。 1つの評価方法がPER(株価収益率)と長期金利を変数とするバリュエーションモデルを使った理論分析であるが、それによると99年時点のニューヨークーダウ1万ドル水準は30%ほど割高になっているようだ。
だから、理論的には30%下落しても不思議ではないということになる。 強気筋の根拠は第1に米国が現在IT革命の真只中にあり、今後も米企業の競争力は益強化されていくと予想していること。
第2に自社株買いの進展で株式市場の需給構造は本質的に変化していると見ているからである。 彼らによれば株価バブル説は米国経済、株式市場の構造変化を捨象した陳腐化した理論モデルに基づいており、到底受け入れられない、と反論している。
バブルは、はじけて初めてバブルだった、と確認される性格のものだけに、バブル論争には余り深入りしたくないが、現地の強気筋にはちょっとついていけないものを感じる。 98年秋の米ヘッジファンドLTCMの破たんで株価が急落したように、何かがきっかけとなって株価が急落するリスクは十分にあると思われる。
但し、その際の米国政府の対応は恐らく機敏であろう。 これまでも株価が急落した際には、大統領、財務長官、FRB議長米証券取引委員会(SEC)委員長が緊急ミーティングを開いて、株価のさらなる下落を阻止するための措置を機動的に打ち出していた。
市場の不安心理を和らげRノーに大いに役立ったのは言うまでもない。 バブル崩壊が始まった後でも、金融引き締め策を強化した日本との決定的な違いである。
米国経済が再生に成功した理由としてまず、経済政策の視点からはインフレ抑制のための金融引き締め政策、強いドルが望ましいとする為替政策、財政赤字の削減策、民間活力を刺激する規制緩和策を上げることができる。 第2に民間部門はこのような政策フレームワークをベースにIT革命という技術革新の波をうまくとらえて、積極的にIT投資を行い、競争力強化のための企業リストラを進めた。
さらにはM&Aを推進して大競争時代に打ち勝つ努力を続けている。 このような米国経済再生に向けた努力が実を結んで、90年代のインフレなき持続的成長が実現したのであるが、同時にグローバルな経済環境が米国景気の過熱を抑える役割をはたした点を付記しておかなければならない。
通常の景気循環論では景気上昇が続くと旺盛な需要に供給が追いつかなくなり、いわゆる供給制約から生産要素価格に上昇圧力がかかる。 すなわち、賃金や原材料などの価格が上昇、金融も引き締められRノーで資金調達コストも増加する。
生産コストの上昇は製品価格に転嫁されて需要を冷やすことになる。 つれて企業収益も悪化して景気は下降に向かうというパターンである。
但し、グローバリゼーションが進んで、貿易や国際間の資本移動が自由になると、国内の供給不足は輸入によって埋めることができるし、輸入決済資金は外国からの借り入れにより調達できるので、国内のインフレを刺激することなく、また同時に国内金利の上昇を招くことなく解決できる。
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第1は企業収益の好転、第2はディスインフレによる資産市場への資金流入、第3は株式需給の逼迫、第4は海外資本の流入である。 第1の企業収益を見てみよう。
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特に後者の労働コストの削減は前節で触れた企業リストラの賜物である。 企業リストラは景気が上昇過程に入っても絶え間なく進められている。
実際、賃金だけでなくフリンジーコストにもメスが入れられており、トータルとしての雇用コストも急激に低下した。 特に、90年代は企業がIT投資を活発化させることによって、人員削減を進める動きが盛んであり、労働者も賃金より雇用を優先する姿勢に転換している。
この結果、米国経済は景気が上昇してもインフレが加速しないというディスインフレ現象を呈している。 ディスインフレ経済では資金の流れがインフレ経済とは自ら異なる。
インフレ経済ではモノに流れ込んでいた資金が、ディスインフレ経済では株式や不動産など資産市場に流れ込む傾向が強くなる。 第3に90年代に入って株式の需給が大きく変わった。
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なかでも株式投信の増加が著しく、国民純資産に占める株式投資比率も過去最高を記録している。 一方、供給サイドでは80年代のマネーゲーム化した企業乗っ取りが横行した後遺症もあってか、企業の自社株買いが進行中である。
自社株買いは公募増資を上回る規模にまで増加しているで、結果的に株式純減の状態が生まれている。 この需給の逼迫は株高を支える強い要因となっている。
第4に特にここ数年海外から米国への資金流入が急激に増加している点は見逃せない。 1つには世界を見渡した場合、最も経済パフォーマンスの良い国が米国であったのは一目瞭然である。
日本経済はバブル後遺症で長期低迷を続けており、特に97年以降は金融機関の破たんが顕在化した。 97年のH海道拓殖銀行、Y一証券、S洋証券の倒産、また98年にはN本長期信用銀行、99年にはN本債券信用銀行が破たん認定を受けて公的に管理されることになった。
金融安定化のための関連法案が通過して銀行への資本注入が実施されたことで、最悪期は脱しつつあると見られるが、まだ予断を許さない状況下にある。 アジア経済は90年代半ばにかけて景気が過熱してバブル経済の様相を呈していたが、97年7月のタイーバーツ危機が引き金となり、アジア地域全域に通貨危機が伝播していった。
このため多くの国がIMF(国際通貨基金)管理下に入り、経済構造の改革を迫られている。 ヨーロッパについてはユーロ誕生に伴う不透明感が底流にあって、海外資本を本格的に引き付けるまでには至っていない。
以上の4つの理由により米国株は上昇を続けているが、問題は株価がこれだけ高いレBールクにまで上昇すると、この水準自体が正当化されるのか、あるいはすでにバブル化してしまっているか議論の分かれるところである。 1つの評価方法がPER(株価収益率)と長期金利を変数とするバリュエーションモデルを使った理論分析であるが、それによると99年時点のニューヨークーダウ1万ドル水準は30%ほど割高になっているようだ。
だから、理論的には30%下落しても不思議ではないということになる。 強気筋の根拠は第1に米国が現在IT革命の真只中にあり、今後も米企業の競争力は益強化されていくと予想していること。
第2に自社株買いの進展で株式市場の需給構造は本質的に変化していると見ているからである。 彼らによれば株価バブル説は米国経済、株式市場の構造変化を捨象した陳腐化した理論モデルに基づいており、到底受け入れられない、と反論している。
バブルは、はじけて初めてバブルだった、と確認される性格のものだけに、バブル論争には余り深入りしたくないが、現地の強気筋にはちょっとついていけないものを感じる。 98年秋の米ヘッジファンドLTCMの破たんで株価が急落したように、何かがきっかけとなって株価が急落するリスクは十分にあると思われる。
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